赤線地帯
(あかせんちたい)
1956年(昭和31年)3月18日に公開された日本映画。モノクロ作品。監督は溝口健二であり、原作は芝木好子の短編「洲崎の女」の一部を使用している。撮影を宮川一夫、音楽を黛敏郎、美術を水谷浩が担当。いわゆる「溝口組」が製作に携わっている。重厚な作品が多い溝口映画の中では比較的に軽めのタッチで描かれているが、非常に質の高い仕上がりであり、"隠れた名作"と呼ばれることも多い。また、公開と同年に施行された売春防止法制定前後をテーマとしている作品であり、登場人物の生き方に当時の女性たちが置かれている立場や社会進出問題といったリアルな状況を見ることも出来、当時の世相、社会情勢を見事に捉えた作品ともいえる。溝口が一貫して追い求めたテーマ"女性"を描く作品であり、遺作でもある。
※ボーダーレスに所属するクリエイターの作品ではありません
あらすじ
舞台は吉原の赤線地帯にある特殊飲食店「夢の里」。この店は売春防止法案に揺れていた。売春を生業とする彼女たちにとってこの法律は死活問題だからだ。「夢の里」に勤める女性たちはみなそれぞれの事情を抱え、そしてそれぞれの夢を抱いていた。より江(町田博子)は普通の主婦に憧れ、ハナエ(木暮実千代)は病気の夫と幼子を抱え、ゆめ子(三益愛子)はひとり息子との同居を夢見ている。自身も売春をする傍ら仲間たち相手に金貸しをしている、やすみ(若尾文子)、ひょんなことから仲間に加わることになった家出娘のミッキー(京マチ子)。売春防止法案に揺れる中、賑やかにたくましく生きる彼女たちにも様々な困難がやってくる...
エピソード
本作は溝口健二作品としては1954年公開の「近松物語」以来となるモノクロ(白黒)作品である。
ゆめ子を演じた三益愛子は公開時46歳で、そのころはお母さん役として人気のある女優であった。彼女が熟女ながらも娼婦役として出演したことも話題となった。(三益愛子は『川口浩探検隊シリーズ』で有名な、川口浩の実の母親である)
溝口はこの作品の公開後も作品作りに非常に意欲的であった。「西鶴一代女」に続く井原西鶴原作の企画。脚本家の依田義賢にすでに「大阪物語」の脚本を作らせているほどだった。しかし撮影準備が整ったと同時に入院。治療も虚しく白血病で亡くなってしまう。そのために、本作が遺作となる。計画されていた「大阪物語」は監督の吉村公三郎によって翌年に映画化がされた。
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