成瀬 巳喜男
(なるせ みきお 1905年8月20日~1969年7月2日)
小津安二郎、溝口健二、黒澤明らと共に日本映画の巨匠と呼ばれる映画監督。女性映画の名手として日本国内だけではなく世界的評価を得ている。東京都出身。
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映像作品に対するこだわり
女性映画の名手として知られる成瀬は、女性の魅力を引き出すことに長けていたとされる。日本映画黄金期の女優たちの好演を成瀬作品で多く見ることができる。美術に中古、撮影に玉井正夫、照明に石井長四郎、録音に下永尚、音楽に斉藤一郎といった通称「成瀬組」と呼ばれるチームによって成瀬の作品は作られている。チームの作り出す独特の映像美はいまだに高い評価を受けている。また、成瀬の作品の特徴として「目線の芸」が挙げられる。これは人物の目線の動きで心理描写やストーリー展開をする独特な手法であり、映画監督の小津安二郎、黒澤明らも認める成瀬独自の手法であった。会話シーンなど日常シーンが多い中でいかに動きを見せるのかを考えた結果誕生した手法ともいわれる。その他にサイレント映画出身の成瀬は言葉ではなく、動きで内容を伝えるということにこだわりがあったともいわれている。また、作品の中に時代性や当時の世相を織り込んでいくことも多かった。これは物語にドキュメンタリー性を持たせる効果があると同時に、『映画の寿命は映画館で上映される数週間だけのものである』という、成瀬自身の考えによるものといわれている。また、黒澤明や石井輝男など、のちの日本映画界を支える多くの映画監督が、成瀬の元で修行し助監督を務めたことでも有名である。
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