動画制作ソフトの使い方動画編集ソフトの歴史 Part 1

1映像の誕生

動画編集ソフトを説明する前に、そもそも映像というものがいつ誕生したのかということを、最初に明らかにしていきたいと思います。電球の発明をはじめ、数々の偉業を成し遂げてきた「発明王」ことトーマス・エジソンが1891年に開発した「キネトスコープ」と呼ばれる装置が、映像の元祖だと言われています。

この装置は、箱を覗きこむことによって映像を見せるというものであり、我々がイメージする現在の映像とは少し意味合いが違うものだったとされています。キネトグラフという撮影装置で撮影されたものをキネトスコープで鑑賞するというもので、エジソンは撮影と鑑賞のふたつの発明をしたことになります。ここから映像の歴史は始まったと言えます。

このキネトグラフとキネトスコープをスタートラインとして、様々な発明家や開発者たちが工夫に工夫を重ね、現代の動画・映像制作を作り上げてきたと言えます。ただ、その歴史は1891年と、意外に古いものではないことに気づくと思います。年数にしてわずか百十数年で、アナログな映像から、現在のデジタルデータにまで進化したことは、特筆に値することだと言えるのではないでしょうか。

これはやはり時代のニーズがあったからこそであり、ニーズ、すなわち需要に応える形で技術が進化発展してきたと言えます。ニーズがなければニッチなジャンルとして、発展は遅々としてこれほどのスピードでは進まなかったことは、容易に想像できます。

2動画編集のはじまり

さて、その後、時は流れて1895年にリュミエール兄弟によって「シネマトグラフ」という装置が開発されました。この装置は、撮影と映写の機能を持つ複合映写機であり、世界初である実写映画の作成を行った偉大な装置といわれています。一説にはレオン・ボウリーという方が開発したともいわれています。

このシネマトグラフとエジソンのキネトスコープとは大きく違う点があります。それは覗きこみではなく、スクリーンでの上映が可能だった点です。そのために、同時に複数の人たちが鑑賞することができ、このシマネトグラフこそ、商業作品としての「映像」を確立した装置であると言われています。また、シネマトグラフを使用して世界初である編集作業を経た作品である「工場の出口」が作られました。今でこそ編集といえば演出なども含まれますが、当時はあくまで映像を「つなぎ合わせる」という意味での編集に過ぎません。しかしシネマトグラフの開発から「動画編集」という歴史が始まったのです。

映像の誕生からわずか数年で映像編集が行われた理由は、前述の通り、エンターテイメントのニーズによるものでした。エンターテイメントは、私たちの生活にとって欠かせないものですが、食料品のように、なければ生きられないものではありません。しかし、それでも高い需要があったということは、映像・動画にいかに多くの人が注目し、期待していたかということを意味しているのではないでしょうか。

それは今も同様で、特にエンターテイメントのジャンルにおいて動画編集は大きな役割を担っています。今や企業・組織はもちろんのこと、個人に至るまで普及している動画編集・映像制作ですが、そこには動画編集の始まった1895年から脈々と受け継がれるニーズがあったというわけです。

3演出のための動画編集

そして、演出のために動画編集という手段が使われた最初の作品が、1902年に公開された「月世界旅行」とされています。これはフランスのジョルジュ・メリエスによって脚本・監督されたもので、技術的に非常に注目を集めた作品とされています。大砲で月にいった人間が、月面で月人と出会うというストーリーで、世界初のSF映画とも言われています。いままでの映像作品と違い、複数の場面や全体を通した物語があることが非常に画期的だったとされ、映画史に名を残す作品です。この「月世界旅行」から「つなぎ合わせる」だけの編集は終わり、演出のための編集が始まったわけです。

演出というと、やはり専門的なイメージが付きまとうものですが、開発者たちの努力による技術の発展によって、個人でも映画のような演出効果を動画編集で行うことができるようになっています。インターネットとパソコンが普及することでその技術革新は加速し、現在では誰でも手軽に動画編集を行うことができるわけです。このように、映像の誕生から映像編集までを紹介してきましたが、そこには多くの画期的な発明があったことをご理解いただけたと思います。

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